うふころです。
先日、愛知の自宅から少し足を伸ばして、静岡県立美術館へ行ってきました。
お目当ては、約3か月にわたって開催されている「NHK日曜美術館50年展」です。
当日はあいにく、朝からしっかり雨……。
「雨かあ」と少々テンションは下がりましたが、夫のビュン助の運転で静岡へ向かいました。
14時の解説を目指して出発!ランチはSAで軽めに
今回の目的地、静岡県立美術館を訪れるのは初めてです。
「せっかく行くなら、できるだけしっかり楽しみたい」
そう思って選んだのが、学芸員さんによる展示解説がある日でした。
解説は午後2時から。
さらに、会期中には展示替えもあるため、見たい作品が比較的そろうこの時期に行くことにしました。
美術の知識がほとんどない私。
だからこそ、詳しい人の話を聞きながら見たほうが、きっと面白いはずです。
途中、新東名のNEOPASA静岡で軽くランチ。
私は小盛りのカレー、ビュン助はうどんにしました。
最近、旅先でも「普通盛りはちょっと多いな」と思うことが増えてきたので、小盛りがあるとうれしい。
そんなところにも、妙にありがたみを感じるお年頃です(笑)。
小盛りのカレー。このくらいがちょうどいい
外に出ると、駐車場は水たまりだらけ。雨はまだまだ続きます
雨の坂道を上って美術館へ。「日曜美術館」は、にわか視聴者です
美術館に到着すると、駐車場は広々。
車を停めてから、美術館へ続く坂道を歩いて上ります。
しかも雨。
「うわあ、雨の中これを上るのかあ……」
と、正直ちょっと気が重くなりました。
晴れていたら気持ちよさそうな道なのに。
ところが前を見ると、同じように傘を差して美術館へ向かう人が意外とたくさんいます。
色とりどりの傘が坂道に続いていて、
「もしかして、みんな午後2時の解説を目指してる?」
なんて思いながら、私もその傘の列にまじって坂を上りました。
実際、みなさん同じ目的だったようです。
実は私、「日曜美術館」を毎週欠かさず見ている熱心な視聴者ではありません。
むしろ、にわか視聴者です(笑)。
ある日、何となく見ていた「日曜美術館」で紹介されていたのが、静岡県焼津市出身の画家、石田徹也さんでした。
人が機械や建物、乗り物などと一体になったような不思議な絵。
ちょっと怖い。
でも、なぜか目が離せない。
「この人の絵、実際に見てみたいな」
それが、今回静岡県立美術館へ行こうと思った一番のきっかけでした。
ほかの作家さんについては、ほぼ知識なし。
それならそれで、純粋にその場で出会った作品を楽しもう。
そんな気持ちで館内へ入りました。
会場の入口。ここから50年の歴史をたどります
音声ガイド&学芸員解説で楽しさ10倍!
館内に入り、学芸員さんの解説を聞くのはもちろん、今回は有料のイヤホン式音声ガイド(ひとり700円)も借りました。
番組のスタジオを再現したコーナー。テレビで見たあの机です
以前の私なら、
「まあ、なくてもいいか」
と借りなかったと思います。
でも最近は、こういうサービスを積極的に使うようになりました。
そして今回は、借りて大正解。
俳優さんの落ち着いた語りで作品の背景を聞いていると、ただ作品を眺めているだけでは見えなかったものが、少しずつ見えてきます。
作品の向こう側に「作った人」が見えてくる。
すると、
「この人は、どうしてこんな作品を作ったんだろう」
と、作品だけでなく作者にも興味が向いていきました。
美術に詳しくない人ほど、こういう解説を使ったほうが楽しめるのかもしれません。
残念ながら、お目当てだった石田徹也さんの作品は今回は1点のみ。
石田徹也《飛べなくなった人》1996年 静岡県立美術館蔵
正直ちょっと残念でした。
でも、静岡県立美術館には石田さんの作品がたくさん収蔵されていて、来年1月から始まる開館40周年記念展では、まとまって見られるとのこと。
これは見たい。
来年1月、またここへ来る理由ができました。
そのほかにも、会場にはバラエティーに富んだ作品が並んでいました。
西洋画、日本画、彫刻、工芸、縄文土器から現代美術まで、本当にさまざま。
自分で展覧会を選んでいたら、おそらく見ることがなかった作品もたくさんあります。
でも、だからこその発見がありました。
「こんな作品があるんだ」
「この人、面白い」
「これ、好きだなあ」
そんな小さな出会いが、次々に出てきます。
知らないことって、悪いことばかりじゃないですね。
都市鉱山の再生銀で作られたミミズクの甲冑。塩見亮介《白銀角鴟面附白絲縅兜袖銀》2022年
眼差しに吸い込まれました
山口晃さんの作品。細かいところまで見始めると、なかなか離れられません
大竹伸朗《釣船 #1》2006年 作家蔵
予想外の大収穫!静岡県立美術館の「ロダン館」
そして今回、一番の予想外だったのがロダン館でした。
静岡県立美術館には、ロダンの作品のための専用の建物「ロダン館」があります。
しかも、「NHK日曜美術館50年展」のチケットで、そのまま見ることができました。
これはお得です。
このチケット1枚で、ロダン館まで入れました
私の中でロダンといえば、
「ああ、『考える人』をつくった芸術家ね」
くらい。
正直なところ、最初は「せっかくだからのぞいてみようかな」くらいの軽い気持ちだったのですが、足を踏み入れた瞬間、その考えは一気に吹き飛びました。
そもそも「ロダンといえばフランスに行かないと見られないもの」と思い込んでいたので、なおさらです。
ありました。
静岡に。
しかも、こんなにたくさん(笑)。
静岡県立美術館のロダン館には、《地獄の門》《考える人》をはじめ、30点を超えるロダン作品が展示されています。
まず圧倒されたのが《地獄の門》。
で、でかい。
高さは6メートルを超え、重さは約7トン。
近くまで行くと、圧倒は共感に変わります。
人、人、人。
苦しそうな人。
体をよじっている人。
落ちていきそうな人。
老若男女、なんと200人以上の人物が、この巨大な門の中に表現されているそうです。
そしてその上部には
「あれ?」
いました。
考える人。
私はそれまで、《考える人》という独立した一つの有名な彫刻があるのだと思っていました。
ところが、もともとは《地獄の門》の上から、地獄に落ちた人々を見下ろす人物として構想されたものだったのだそうです。
へえええ。
知らなかった。
こういう瞬間が、面白い。 美術館って。
下にいる人と比べると、大きさがよく分かります。オーギュスト・ロダン《地獄の門》静岡県立美術館蔵
近くで見ると、人の姿がびっしり。ビュン助もびっくり
扉の上に、小さな《考える人》。まわりにも人の姿がびっしり。オーギュスト・ロダン《地獄の門》(部分)静岡県立美術館蔵
そして最後は、地獄の門から抜け出した、大きな《考える人》の前へ。
正面から見たり横から見たり、 しゃがんで顔をじーっとのぞき込むと、目があった気がして…
オーギュスト・ロダン《考える人》静岡県立美術館蔵
「いやー、いろいろ大変だよねー」
思わず、心の中で話しかけてみました。
もちろん返事はありません。
でも、じーっと見ていると、
「まあね。人生、楽じゃないよね。君もでしょ」
と言われたような気がしました。
……はい。
お互いさまですね(笑)。
帰るころには豪雨。ビュン助に感謝
ロダン館までたっぷり見て、ふと外を見ると、雨がさらに激しくなっていました。
豪雨です。
館内も閉館時間が近づき、人影が少しずつ減っています。
閉館前のロビー。さっきまでのにぎわいがうそのように静かでした
さっき上ってきた坂道を、この雨の中また下るのか……。
と思っていたら、ビュン助が、
「ここで待ってて」
と、一人で駐車場まで車を取りに行ってくれました。
私は入口で待機。
美術館の入口から。帰るころも、雨は降り続いていました
おかげで、ほとんど濡れずに車に乗ることができました。
こういうときは頼りになります。
ビュン助、ありがとう。
帰るころには、木の下まで水びたしでした
美術の知識がないから……と構えず、思い切って出かけて大正解の一日でした。
うふころのひとことメモ
同世代のみなさんに伝えたいのは、まずこれです。
◆ 知らない展覧会こそ「解説」を利用する
学芸員さんの解説や音声ガイドを利用すると、ただ作品を眺めるだけとは見え方が変わります。
有料のものもありますが、迷ったら思い切って利用してみてください。
少しの出費で見え方がここまで変わるなら、結果的にはむしろお得です。
事前に気になる作家を少し調べておくのもおすすめ。
私の体感では、楽しさ10倍でした。
◆ 静岡展は9月27日まで。次は大阪へ
静岡県立美術館での「NHK日曜美術館50年展」は9月27日(日)まで。
その後、10月10日(土)からは大阪中之島美術館へ巡回します。
展示作品は会場によって変わる場合があるので、お目当ての作品がある場合は、事前に公式ホームページで確認しておくと安心です。
◆ 静岡県立美術館へ行ったら、ロダン館もぜひ
私のように、
「ロダンって、フランスへ行かないと見られないんじゃない?」
と思っている人がいたら、ぜひのぞいてみてください。
《地獄の門》は、近くで見ると本当に圧巻です。
そして最後は、《考える人》の顔をのぞき込んで、心の中で話しかけてみてください。
もしかすると、
「君もいろいろあるよね」
なんて、何か返ってくるかもしれませんよ(笑)。
